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AI以後の囲碁とチェス:何が変わったか

チェスのコンピューターが世界王者に勝った1997年、アルファ碁がイ・セドル九段に勝った2016年以後、研究や勉強法、大会運営がどう変わったかをまとめました。

📚 囲碁とチェス入門 · 10/10· ⏱ 読了目安 3分 ·情報更新 2026-10-09

📋 基本情報

1997年
チェスのコンピューター、ディープ・ブルーが世界王者カスパロフとの再戦に勝利
2016年3月
アルファ碁がソウルでイ・セドル九段に五局中四勝
2017年
人間の棋譜なしで自己対局から学んだアルファ碁ゼロを発表
囲碁の序盤
星の石への早い三々入りがよく見られる手になった
勉強の順番
一人で検討してからAIの分析で確かめる

コンピューターが人間を超えた二つの場面

チェスと囲碁で、コンピューターが一流の人間に勝った出来事は、それぞれ大きな転換点になりました。1997年、チェスのコンピューター、ディープ・ブルーは、当時の世界王者ガルリ・カスパロフとの六局の再戦に勝ちました。囲碁は打てる手の組み合わせがチェスよりはるかに多く、コンピューターが一流棋士に勝つにはまだ長くかかるという見方が多くありました。しかし2016年3月、ソウルで行われた五番勝負でアルファ碁がイ・セドル九段に四勝一敗で勝ちました。イ・セドル九段が勝った第四局は今もよく語られます。その後、どちらのゲームも勉強と研究のやり方が大きく変わりました。

アルファ碁が残したもの

アルファ碁は人間の棋譜でまず学び、その後自己対局で力を伸ばしたプログラムです。2015年10月にヨーロッパ王者のファン・フイ二段に五局全勝し、2016年のイ・セドル九段に続いて、2017年5月には柯潔九段に三局全勝しました。同じ年、人間の棋譜を使わずルールだけを知って自己対局で学んだアルファ碁ゼロが発表され、続いて同じ方法でチェス、将棋、囲碁をまとめて身につけたアルファゼロが登場しました。人間の知識なしで出発したプログラムが、長年の理論と違う手を打ちながら勝つという事実は、棋士や研究者に大きな衝撃を与えました。

囲碁の序盤理論の変化

最も目立つ変化は序盤です。以前は、星に打たれた石の下の三々に早く入る手は、相手に外側の厚みを与える損な手だと考える傾向が強くありました。ところがAIが早い時期の三々入りを好んで打つようになり、今ではプロの対局でもよく見られる手になりました。アルファ碁がイ・セドル九段との第二局で五線に打った肩つきも、人間の常識を外れた手として有名になりました。長く使われてきた定石の一部はあまり打たれなくなり、AIが好む新しい変化が定石のように研究されています。ただし、なぜよいのかわからないまま形だけを真似ると、その後の変化で迷いやすくなります。

チェス研究の変化

チェスではコンピューターが囲碁よりずっと早く人間より強くなったので、変化がより長く積み重なってきました。一流選手は序盤の準備でコンピューターを使って膨大な変化を前もって調べ、対局後は分析結果で自分のミスを確かめます。その結果、序盤の準備は非常に深くなり、危ないとして捨てられていた手がコンピューターの検討を経て再び使われることもあります。終盤では、残った駒がごく少ない局面について最後まで計算した資料が作られ、その終盤が勝ちか引き分けかを確実に知ることができるようになりました。

形勢グラフを見るときの注意

最近の囲碁やチェスの中継では、AIが計算した形勢グラフを一緒に表示することがよくあります。流れをつかむ助けになりますが、いくつか知っておくとよいことがあります。数字そのものより、その数字が大きく動いた場面で何が起きたのかを考えるほうが、勉強にはずっと役立ちます。

  • 囲碁の勝率は目数の差ではなく、勝つ見込みの推定である
  • 同じ局面でもプログラムや計算時間によって数字が変わる
  • AIが選ぶ最善手を人間が打ち続けるのは難しい
  • グラフが大きく動いた手が、人間にとって易しいミスだったとは限らない

勉強のしかたはどう変わったか

以前は強い人の指導や本の解説がほぼ唯一の正解の出どころでしたが、今は誰でも自分の対局をAIで分析できます。どこで形勢が傾いたかをすぐに知れるようになった一方で、最初から推奨手だけを見ると、自分で考える過程を飛ばしてしまいます。まず一人で検討して決定的な場面を見つけ、そのあとAIの判断と比べる順番がおすすめです。推奨手が自分の考えと違うときは、その後の手を実際に並べてみて、なぜよいのかを説明できるまで考えてみてください。説明できない手は、まだ自分のものではありません。

大会と公正さ

AIが人間より強くなったことで、対局中にこっそりコンピューターの助けを借りる不正が新しい問題になりました。そのため対面の大会では対局場への電子機器の持ち込みを制限することが多く、オンライン対局サイトも不正を防ぐ仕組みを運用しています。具体的な規定は大会や団体ごとに違うので、参加する前に公式の案内を確認してください。親善対局であっても、対局中に分析ソフトを開いておくのは相手に対して失礼です。分析は対局が終わってから検討するときに使うのが原則です。

人間が打つ対局の意味

コンピューターが強くなったからといって、人間の対局が意味を失ったわけではありません。チェスでは1997年以後も世界選手権やさまざまな大会が続いており、囲碁でもAIを研究に取り入れて育った新しい世代の棋士が活躍しています。人間の対局には、時間に追われる中での判断、ミスと逆転、異なる棋風が生む物語があります。AIはその物語の代わりというより、より深く理解するための道具に近い存在です。これから始める人は、まずルールを覚えて人と打つ楽しさを味わい、勉強が必要になったときにAIを活用する順番をおすすめします。

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